嘔吐下痢症(ウイルス性胃腸炎)

原因と感染経路

 秋から冬にかけてウイルスによる嘔吐下痢症が流行します。かつては白痢とか小児仮性コレラとか呼ばれていました。これらのウイルス性下痢はロタウイルス、小型円型ウイルス(カリシ、アストロ、ミニロタなど)によるものが多く、他にはエンテロウイルス、アデノウイルスで起こるものもあります。普通小型円型ウイルスは秋口から1月にかけて、ロタウイルスは2月から3月の春先にかけて多くみられます。
 小型円型ウイルスの発症は2つの原因が考えられ、一つは生ガキなどを食べ食中毒をきっかけに起こるもの。もう一つは急に寒くなる時期に起こる原因不明のものです。感染は食べ物や糞口感染のほかに空気を介しての感染も報告されています。
 生後5ヶ月から2歳頃の子どもがよくかかります。年長児にもみられます。潜伏期は1〜2日で、家族の人のうつることもあります。

症状

 嘔吐で始まり、下痢が続いて起こります。逆の場合もあります。下痢は軟便からオムツから流れ出すような水様の下痢で、1日数回から十数回に及びます。便の色は米のとぎ汁のような白色のものから淡黄色のものが多く見られます。
 ウイルスで起こる病気なので自然に治ってくるのを待たねばなりません。嘔吐は2,3日で治まりますが、下痢はロタウイルスでは7〜10日ほど続きます。ロタウイルス以外のウイルスでは一般に軽く3〜4日で治まることが多いようです。
 1日10〜15回以上の下痢、1時間に1回以上見られる下痢は重症の下痢です。嘔吐と同時に下痢が平行して続くので脱水状態になりやすいので注意が必要です。1歳以下では8時間以上1歳以上では12時間以上オシッコが見られないときは脱水状態にあると考えられ重症です。

 また腹痛や首のリンパ腺が大きくなることもあります。年長児では症状は一般に軽いようです。

治療

 治療の中心は脱水の予防と治療です。家庭では白湯、番茶やイオン飲料や野菜スープなど水分を十分に与えて下さい。100%ジュースは浸透圧が高く嘔吐下痢の時は避けるべきです。どうしても与えたいときは半分以下に薄めて与えて下さい。
 嘔吐のあるときは吐き気が治まるまで何も与えず、落ち着けば水分を30〜50ml少量づつ頻回に与えて下さい。胃の動きが悪くなっているので胃にたまるほど多く与えると吐きます。(少量与えるのがコツです。)固形物は水分を与えてもはかなくなるまで6〜8時間控えます。 

 ミルクは数日薄めに、母乳はそのまま続けます。10日以上も下痢が長く続く時には乳糖を消化する酵素が減ってミルク中の乳糖が消化できなくなり下痢の原因となることがありますので、乳糖の含んでいないミルク(ラクトレス、ラクトフリー、ボンラクト、ソーヤミール)に変えた方がよいでしょう。
 離乳食は嘔吐がなければ脂っこいも以外は与えても良いでしょう。
入浴は下痢がひどいときは体力が消耗しているので避け、下痢が5回以内に治まってからにしましょう。
 下痢がひどいとお尻があれますので頻回にオムツを変えてあげて下さい。入浴できないときお尻を洗うのは問題ありません。

 吐き気止めや下痢止めが処方されます。


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